2019, 27(6):18-26.
摘要:
日本最北の稲作地帯である北海道では、冷涼な気候の変動の影響を避けて良食味米を生産するため、アミロース含有率(アミロース)と精米蛋白質含有率(蛋白)の低下技術が開発された。アミロースは栽培品種の影響が大きいが、唯一登熟気温が高いほど低下するため、早植えや葉令が大きい苗で出穂を促進する。蛋白では、窒素施肥標準量を、稲作地帯の気象条件による20区分と各5土壌型別に、過去の収量実績による設定基準収量から蛋白7.0%以下を目標に決める。さらに可給態窒素量による施肥増減、前年秋と当年融雪後での降水量と気温による乾土効果および有機物施与に対応した減肥も行う。さらに、追肥の回避、泥炭土での客土やケイ酸資材の施与を行う。初期生育の促進技術として健苗の育成、移植適期内の早植え、密植、浅植え、側条施肥、および移植後での水温上昇のため夜または早朝の入水や強風地帯での防風施設設置がある。また不稔多発の回避ための幼穂形成期から穂ばらみ期の深水がある。登熟期間には、落水時期に注意し,適正な土壌水分を保持する。収穫後の稲わらは、多収と低蛋白のため堆肥化が最善だが、土壌に直接鋤き込むとしても春を避けて秋に行う。